ペットに財産を譲れますか？

こんにちは。

阪神・姫路相続遺言センターの青山と申します。

毎日、寒いですね～。

今年は、全国的に雪が降る地域が多いようですね。

皆様、体調にお気をつけ下さいね。

さて、今日の相談事例です。

おばあちゃんは、猫のハナちゃんのことが大好きなんですね。

1 ペットに財産を譲れますか？

家族のように大切なペットに、ご自分の財産を譲りたいと思っている人はたくさんいるみたいですね。

大事に思っているお気持ちは分かりますが、結論からいうと、残念ながら相続人や契約相手方になれるのは人間だけですので、直接ペットに譲り渡すことはできません。

2 相続人になれるのは誰？

ご存じかもしれませんが、相続人には、法定相続人とそれ以外の相続人がいます。

具体的にいうと、法定相続人とは、民法で決められている、被相続人（亡くなった人）の財産を相続できる人をいいます。例えば、配偶者、親、子供、兄弟など、法律で決められた人です。

相続の順位というものも決まっていて、一番は配偶者、次に子供、さらに親、その後、これらの人たちがいない場合は、兄弟姉妹という順になります。

法定相続人以外の相続人というのは、文字どおり、民法で決められている家族や、親族以外の人たちのことです。

被相続人が、この人に財産を譲りたいな～と思う人を指定して、財産をゆずることができます。この人を、法定相続人以外の相続人といいます。

では、家族以外のペットを法定相続人以外の相続人として、財産をゆずることが出来るでしょうか？

先ほども言いましたが、ペットは、どんなに大事に思っていても、人間ではありません。

なので、ペットを直接、財産の譲受人として指定することはできません。

3 　ペットが幸せに暮らすには？

では、どうすればペットに財産を譲ることができるのでしょう。

おそらくペットを大事に思っている飼い主さんは、大切なペットに、ご自分の手が行き届くなった場合でも、不自由なく暮らせるように環境を整えてあげたい。それにはお金がかかるはず。そういう思いから、ペットに財産を譲りたいと思われるのでしょう。

そういう場合は、ペットの面倒を見てくれる人に財産を譲ります、その代わり、ペットのお世話を最後まで見てくださいねという条件をつけます。

詳しく言うと、飼い主さんの生前に契約をするので「贈与契約」という契約を結ぶことになります。そして、ペットのお世話をしてくれることを条件としていますので、「負担付贈与契約」というものを結ぶことになります。

また、飼い主さんが亡くなったあとは、ということなので、「負担付死因贈与契約」というものになります。

4 　遺贈と贈与契約の違いは？

ここで「遺贈」と「贈与契約」の違いは、簡単にいうと、「遺贈」は、遺言によって財産を渡したい人を指定してゆずる一方的な行為です。自分だけで完結できるので単独行為と言います。

これに比べて、「贈与契約」は、あくまで契約なので2人で行う双務契約と言います。

これに、ペットのお世話をするという条件が付いているので、負担付贈与契約、さらに飼い主さんが亡くなった後という条件もついていますので、負担付死因贈与契約となります。

5　注意すべきことは？

ここで注意しなければいけないのは、あくまで契約なので、双方に契約上の履行義務があるということです。

財産をわたす側は、譲り渡す契約を取り交わし、契約の履行として財産を引き渡して完了です。

財産を譲り受ける側は、譲り渡し人の死後にペットのお世話を継続していくことが義務です。

途中でペットのお世話を放棄することは原則として、出来ません。

万が一、譲り受ける人にとって何らかの環境の変化が生じて、どうしてもペットのお世話が難しくなったらどうするのか、そういったことまで考えて、契約に盛り込んでおくべきだと思います。

ご自分の代わりに、ペットを大事に扱ってくれる人、ペットが最後まで幸せに天命を全うできるように、信頼できる人を選ぶ必要があります。

負担付死因贈与契約のご相談も承っております。

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