遺言書が後から出てきた・・どうしたらいい?



こんにちは。

兵庫県伊丹市・姫路市および近隣地域を対象としております「阪神・姫路相続・遺言事務サポートセンター」と申します。私たちは女性行政書士2名(青山・秋田)で運営しております。お問合せいただいた事例をもとに皆様の参考にしていただければと、ブログを更新しております。

まるです。
サポートセンターのお手伝いをしています。
分からないことをどんどん聞いてみたいと思ってます。

家族が亡くなり、遺言書を一通り探してみたものの見つからなかったので、遺言書はないものとして、相続人全員で遺産分割協議を行いました。
そして相続人全員がそろい、時間をかけて話し合い、ようやく協議が整ったので、それぞれの相続分にしたがって分割したのですが。。1年以上たって、部屋の片づけをしていたら思いがけないところから遺言書が出てきました。


このような場合はどうしたら良いのでしょう??

大事な書類や、日記などを保管している机は探してみたのに、意外なところから出てきましたーって聞くよ。
ご本人自身も、まだまだ大丈夫と思っていたのに、急なご病気でバタバタして言い忘れてしまったり。
せっかく、話し合って落ち着いたのに、やり直しって大変だよ~。



1 遺言書の効力はいつまで?

遺言書は、何年経ったから効力がなくなるというものではありません。

遺言書は故人の最後の意思なのでずーっと有効です。


では、遺産分割協議も整い、分割も終えたのに後になって遺言書が見つかった場合は、どのようにすればよいのでしょう。相続を遺言書に従ってやりなおさなければいけないのでしょうか??


2 遺産分割をやり直す場合

遺産分割をやり直す主な場合として、以下のような場合があります。


(1)遺言書どおりに分けたいと言い出す人がいる場合

遺言書の内容と遺産分割協議の内容が異なり、相続人のうちの誰かが「遺言書どおりに相続をしたい」と言われるならやり直す必要があります。

相続財産は、故人の財産ですので、故人の最後の意思である「遺言」を優先させるという意味合いが強いのでしょう。

(2)錯誤による取り消しをされた場合

遺言書があることを知らなかったので、遺産分割協議をしてしまった。これは「錯誤によるものなので取り消してなかったことにする」という人がいる場合もやり直す必要があります。

錯誤というのは、一般的にいうと勘違いという意味です。
もし、本当のことを知っていたらそのようなことはしなかった、なのに知らなかったからしてしまった。つまり、遺言書があると知っていれば、遺産分割協議に賛成しなかった、なのに、遺言書があることを知らなかったので遺産分割協議に賛成してしまったということになります。
錯誤の場合の効果は取り消すことができます。以前は錯誤の効果は無効でしたが、民法改正によって取り消してなかったことにできるということになりました。

(3)法定相続人以外の受遺者が指定されていた場合
遺言書に法定相続人以外の人に遺贈すると書かれていた場合は、その人にも相続する権利が生じます。

この人も利害関係者になりますので、この人を除いて取り決めた遺産分割協議のままというわけにはいきません。遺言書のとおりに遺産を渡す必要があります。


(4)相続人を廃除している場合

相続人が廃除されていた場合は、その人を除いて遺産分割を行う必要があります。また逆に、廃除されていたけれど遺言書に排除を撤回する旨の記載があった場合には、復活したその人を含めた遺産分割協議を行う必要があります。

★「廃除」について詳しくは➡➡こちらから。


廃除をするには、一般的に言って、よほどな理由があるわけですから、遺産を与えたくない人に財産が渡っているのはおかしいということです。また、その逆もあって、生前、廃除していることを伝えられていたのでその人を除いた全員で遺産分割協議を行ったという場合に、遺言書に排除を撤回する旨の記載があった場合は、その人も相続人になるわけですから、取得分が変わります。


(5)遺言執行者が追認しない場合

遺言書に遺言執行者が指定されていて、遺言執行者が遺産分割協議の内容を承諾しない場合も遺産分割協議が有効ではないので遺言書に従う必要があります。


3 遺産分割協議をやり直さなくてもよい場合

では、遺産分割協議をやり直さなくても良い場合にはどのような場合がるのでしょうか。


相続人全員が、合意した内容でよいというのであれば、遺言書の内容を無視することも可能です。
ただし、先に述べたように遺言書に相続人以外の受遺者がいた場合は、相続人だけで合意できないので、やり直す必要がでてきます。

相続人全員が合意しているのであれば、不便や不公平なども解消されて全員が納得している解決方法だろうから良いじゃないか、というこになります。

遺言書による個人の意思を尊重し、①相続を受けるべき人たちが揃っているか、②相続人全員の合意があるか、がポイントですね。

にゃるほど~。
遺言書の内容と相続人の意思のバランスを取りいれてるんだね~。
判断がむずかしいときは、聞いてね~

遺産分割協議書の作成やご相談も承っております。
迷われることなどが、ございましたらお気軽にお電話くださいませ。